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「上限号俸」含め、賃金表の作り方を知りたい。

質問:賃金表を作りたいのだがどの本を見ても上限号俸(それぞれの等級の上限号数はどのように決めればよいか)が書いていない。これも含めて賃金表の作り方を教えてもらえないか。

回答:やり方は色々有りどれが正解ということではありません。一つの方法として参考程度に聞いてください。実に簡単です。

賃金表は等級ごとに「1:ピッチ(1号俸でいくらの差をつけるか)」、「2:初号値」、「3:上限号数」を決めることで作成できます。その前に等級数を決めておく必要があります。中小企業なら6~7等級程度で良いでしょう。ここでは7等級としておきます。まず1:ピッチの決め方です。大卒初任給(高卒でも良い)を20万としましょう。次に40歳程度で概ね平均的な社員の給与を探します。全社員の賃金をプロットしてみると分り易いでしょう。仮に32 万円で4等級在籍と仮定します。大卒初任給とこの方の給の差を計算すると、32-20=12万です。年齢差は40-22=18歳です。給与の格差を年齢差で割ると12万÷18歳=6667円。これが全社の平均的な昇給額です。ここでの平均的な社員は40歳程度で4等級、なおかつ平均的な評価S~Dの5段階なら真ん中のB評価ということになります。この方の昇給が6667円です。一般的に昇給は5段階で行なわれ、S=5段階アップ、A=4、B=3、C=2、D=1段階アップでしょう。Bは3段階アップなので6667円÷3段階≒2222円、これが4等級のピッチです。下位等級のピッチは2222円に0.8ずつ掛けていき、上位等級のピッチは1.25ずつかけていけば出来上がりです。従って3等級は1778、2等級は1422、1等級は1138円、5等級は2778、6等級は3472、7等級は4340円です。これは作成方法の事例ですが、この金額は中小企業であってもやや低いかなと思います。過去の昇給や現在の賃金水準などを鑑みて、自社に合った金額に変更することも考える必要があります。
次に初号値です。1等級は高卒初任給を、2等級は大卒初任給を当てはめます。3等級以上は最短で昇格した場合の下位等級での号俸値を当てはめます。
次に上限号数を決めます。今は少ないですが、以前は最長昇格年数という規定がよくありました。これはいくら評価が悪かろうと一定の年数がたてば能力や実績に関係なく昇格させる仕組みです。年功序列の最たるものです。この最長昇格年数の規定に引っかかる方で最も評価の高い方の昇格までのピッチの積み重ねの数が上限号俸です。例えば昇格要要件がBを3回以上であれば、B2回とあとは全てC評価とした場合の最高到達号俸です。しかし、今ではこのような規定を作る企業はないので、経験則ですが概ね初号値の1.5倍~1.8倍程度の金額を上限とすれば良いでしょう。このあたりは自社の事情に合わせて決めればよいです。
賃金表はこれで完成です。ただ、賃金表を作ると言うことは、業績が芳しくなくても支払いの約束をするということです。私のお客様は20名程度から300名程度の中小企業が多いので、約束は危険なのであまり勧めていません。勿論、業績が悪い時はS評価の昇給が5コマではなく、4コマあるいは3コマの場合もあり、D評価の場合はマイナスとするのも一つの選択肢ですがマイナスを作るのはモチベーションダウンを招きそうで心配です。私はポイント制を勧めています。

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2007年11月11日 04:47に投稿されたエントリーのページです。

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