森林鉄道段戸山線の作業の仕組み
(当時の関係者のお話より)
森林鉄道段戸山線では動力のついたトロッコを「機関車」と呼び、田口、団子島にそれぞれ2両ずつあった。ガソリンと木炭の併用で、用途に応じ弁で切り換えていた。スタート時や短時間の移動などはガソリンで、それ以外は木炭を使用した。
動力の無いものはトロッコと呼び手動のブレーキ付で、連結も出来た。
朝、幾両ものトロッコを連結してその上に作業者が乗り機関車で引っ張って終点の土場へ向かい、そこでトロッコを切り離すと機関車はすぐに森林鉄道の始点(田口や田峰)へ帰ってきた。土場へ向かう際トロッコは上に重ねて行くこともあった。土場に残ったトロッコには鉄索(索道)で土場まで下ろした丸太を積み込み、一杯になるたびに軌道の坂を下り森林鉄道始点へ戻ってきた。何台もが立て続けに来るような事は無かった。土場からはほとんどが下りのため動力は必要なく、ブレーキをかけるだけで始点まで辿り着くことが出来た。傾斜がなだらかな田口の手前、三都橋の津島神社あたり、田峰の手前あたりでは機関車が力を貸した。
機関車が引っ張るトロッコに乗って作業に出かける途中、トロッコから誤って川に転落して死亡するという不幸な出来事もあったようだ。
森林鉄道の機関車は材木を乗せたトロッコを山から引っ張ってくるようなイメージがあるが、実はそのようなことは無く、動力の無いトロッコが丸太を積んで重力で始点まで帰ってくるのである。興味深い事実である。
なお、今回インタビューした関係者の方のお話では、三都橋には車庫は無かったそうだ。